卒業生の声 野永 喜三夫さん

Graduate's Voice

人々から尊敬され、愛される料理人になることを
目標に頑張っていきたいと思います。

日本橋ゆかり
野永 喜三夫さん

調理師科卒業(1991年3月)

1991年4月
株式会社菊乃井入社「露庵 菊乃井」にて村田吉弘氏の下修行をはじめる。
1997年6月
約6年間の修行を経て、日本橋ゆかり三代目店主就任

1972年、東京都出身。服部栄養専門学校を卒業後、村田 吉弘氏がオーナーを勤める「株式会社 菊乃井」に入社し、村田吉弘氏の下で日本料理の修業を重ねる。25歳から実家の「日本橋ゆかり」に戻り、三代目として腕を振るう。 2002年に「料理の鉄人Japan-Cup ’02」総合優勝。その後、NYタイムズ紙に日本を代表する若手料理人として選ばれ、『世界の料理人』として認められる。以降、様々なメディアや海外での活動を行い、日本料理の新しい可能性を発信し続けている。

料理の道を志したきっかけ

料理人になろうと決めたのは、幼稚園のころです。家が料理屋だったので、親や働いている板前さんの姿を見て自然と料理人に憧れを持っていました。またそのころから、絵を書くことやモノづくりの楽しさを覚え、イメージを形にすることが好きな子供でしたね。

学校選びについて

料理の基本的な技術と知識を両面から学ぶには、学校で学ぶことが一番の近道だと思いました。かつては修行をしながら料理の理(ことわり)を学んでいくことが多かったのですが、現在では修行に行く前に体系的に学んでおけるので、修行先でも効率よく学ぶことができると思います。当時から服部学園は、設備や施設の質も抜群に良く、先生方も熱心で、調理の学校では一番だというイメージがあり、迷わずこの学校を選びました。

学園生活をとおして

色々な事を学びました。料理屋の息子という自負から実技には自信がありました。西洋・日本・中華・製菓製パンそれぞれの実技試験では、各分野合格するごとに腕章をもらえ、全部合格すると「神」と呼ばれるくらい難関な試験でした。頑張って、製菓以外は全てクリアしました。昔からの負けずきらいな性格が幸いして、家でもやる気満々で特訓したことを思い出します。また、衛生学など講義の勉強も非常にためになりました。学生時代にきちんと衛生や栄養の知識を学べたことはその後の料理人生においてとても役に立ったと思います。

菊乃井修行時代

学校を卒業してすぐに、京都の菊乃井へ入社しました。学校を選ぶときと同じで、とにかくナンバーワンの店で働きたいと思い、村田吉弘さんの下で修行に打ち込みました。修行時代は本当に色々なことがあり、数多くの出会いがありました。

菊乃井では店の厨房のほかにも、テレビ番組用のレシピづくりの手伝いや、東京のテレビ局とのやり取り、食材調達など毎日が火を噴くような忙しさでしたが、とても良い経験をさせてもらいました。6年間の修行の末、日本橋ゆかりに戻りましたが、日本料理の基礎は間違いなく、菊乃井で培われたと思っています。

京都では土地のものを当たり前に取り入れる風土が根付き、食べに来る人も観光客の方だけではなく、地域の方の冠婚葬祭などのイベントで利用されるなど、人々の生活に密着しています。
地域全体で料理を文化として昇華する考え方を、この時期に改めて学びました。

現在の仕事について

現在は「日本橋ゆかり」の三代目として、毎日厨房に立っています。その傍ら、商品開発、地域興し、海外でのイベント参加と日本料理の可能性を日々探求をしています。実際に土地のものを使って商品開発をすることは地域の活性化にもつながっていると思います。特にこの10年は、色々とチャンスに恵まれ、様々な経験をさせていただいています。その中でも「料理の鉄人 JAPANCUP02」での優勝は大きな転機でした。とても嬉しかったことを今でも覚えています。これからも夢に向かって日々精進していきたいと思っています。

これからの夢

日本料理の可能性を世界にもっともっと広めていきたいですね。
日本の食文化には大きな可能性が秘められているのに、まだまだ発信しきれていないことがたくさんあると思います。私は、日本料理の素晴らしい文化を発信するため、世界各地で“KAISEKI”の魅力や、“うまみ”の大切さについて講習会を行ったり、料理イベントに参加したりしています。

今後の目標としては、農林水産省主催の顕彰制度「料理マスターズ」に選ばれて、より幅広く世界に日本料理の魅力、奥深さをPRできる人になりたいと思っています。

何よりも料理には人を健康にしたり、笑顔にさせる力があります。料理の持つ可能性を一層深く探究して、世のため人のため努力してきたいですね。

学生のみなさんへ

これからの料理人は、広い視野を持ち何事にも好奇心を持って取り組む姿勢が必要だと思います。私は、ブログやフェイスブックでも料理に関することを中心に、マメに発信するようにしています。陶芸や建築も好きで、お店の食器や建物も自分でプロデュースしたものが多いんですよ。色々なことに興味をもって、料理に活かしていければと思っています。学生のみなさんもアルバイトや、遊びも含めて様々な経験をしてほしいと思います。色々な可能性があるのだから、頭を柔らかくして視野を広くして物事を見てほしいですね。
また、学生のみなさんには、夢・目標を持ってほしいと思います。

私にとって夢を叶える近道は、目標となる人を見つけできるだけその人のやり方を取り入れ、自分の実力を磨いていくことです。料理の所作、考え方、気配りなど、できるだけマネをしてその人に近づこうとすることで上達の道は早くなると思います。私の場合、菊乃井の村田吉弘氏という目標を見つけ、追いつきたいという気持ちで必死に修行をしてきました。この経験があって今の私があると確信しています。村田さんは私と同じ日本料理屋の3代目でちょうど年齢が20歳離れているんですよ。

20年後の自分に対するイメージもおのずと見えてくると思います。私もいつまでも向上心を持って、素晴らしい日本の食文化を世界に広めていけるよう、頑張っていきたいと思います。

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