卒業生の声 品川 結貴さん

Graduate's Voice

服部の仲間が集まり実現した週末レストラン。
多方面の知識と経験を生かし
まったく新しいマーケットを切り拓く。

株式会社KIBO(Kitchen KIBO – KIBO Lab)
代表取締役 品川 結貴さん
取締役 佐々木 拓也さん
取締役 前田 佳代子さん

調理師本科夜間部(1.5年)/2020年卒業

品川 結貴さん

Kitchen KIBOとはどんなお店ですか?

品川さん

服部栄養専門学校の夜間調理科卒業生有志による、シェアキッチンを利用した週末レストランプロジェクトから始まりました。「飲食ビジネスに希望を!」という想いでつけた活動のグループ名「Kitchen KIBO」の名前のとおり、食で希望をお届けすることが私たちの願いです。

私たち3人は2018年4月に服部栄養専門学校に入学し、2020年9月に卒業した同期です。一緒の班になったことがきっかけで、卒業後も連絡を取り合っていました。
この学年は、コロナ禍真っ只中に卒業でした。本当なら独立開業やキャリアチェンジなど、何か目的を持って入学したにもかかわらず、卒業する頃には状況が一変してしまったのです。卒業後、2021年の6月に久々に同級生が集まる機会があったのですが、収束の気配のないコロナ禍の中、思うように目標に向かって進めていない仲間が多くいることを知りました。
共通点は、全員が調理師免許を持っていること。食べることが好きで料理が好き。この変化の時代の中、今私たちだからできることがあるのではないかと考え、「なんかやりたいね」という話になりました。そこで週末レストランプロジェクト「Kitchen KIBO」がスタート。初の開催は、2021年9月のランチ営業でした。
当初はほぼ無報酬で活動していましたが、次々と協力者が増えお客様にも評判になりました。ビジネスとして軌道に乗り、スタッフの人数も増え、2022年4月に法人化しました。

2021年9月に開催したランチ営業の様子
その時に提供した「カオマンガイ」

社会人になってから調理専門学校に入学したのはなぜですか?

品川さん

私は理学部物理学科卒、IT業界出身です。仕事は営業マーケティング、経営企画、事業戦略、最終的にはシステム関係、コンサル、という職歴です。
子どものころの夢はケーキ屋さん。もともと料理に興味があって勉強したいと思っていたのですが、親からはとりあえず大学は出ておきなさいと言われまして。でもずっと食に関する仕事に関わりたいと思っていました。作るよりも、食全般に関われるようなフードコーディネーターとか、システム構築とか、そのようなことに興味を持っていました。

大学卒業後、就職して数年たち管理職にまでなったとき、「このままいくとやりたいことができないままになってしまう」と焦りました。夜間の料理専門学校に行きたくても立場上無理。それなら、給与が保証されつつ自分の時間を自由に決められる会社で働こうと思い、裁量労働制を取り入れている外資系の会社に転職しました。専門学校に通うために転職したんですよ。(笑)
専門学校を卒業してからは働きながら休日にKitchenKIBOの活動を始め、2023年3月に会社を完全に退職してここでの活動に本腰を入れ始めました。

佐々木さん

私は子どもの頃から食べるのが好きで、中学校のころには休みの日はお昼を料理したりしていました。「料理のプロ」に憧れていて、テレビでも有名だった服部先生のいる服部栄養専門学校に入ることが夢でした。
高校を卒業するときに就職するか服部にいくかでずいぶん悩んだのですが、断念して地元青森の食品メーカーに就職。工場の製造・品質管理・品質保証などさまざまな部門に携わり、現在は商品開発を担当しています。今も企業在籍で、KIBOは副業です。
商品開発をやる中で、より実践的なスキルを高めたい、調理の知識は必要だと感じ、夜間の調理専門学校に通うことを考えました。会社も快く承諾してくれて、学んできなさいと背中を押してくれました。もともと入りたかった服部に、十数年を経て入ることができたというのが、とてもありがたかったですね。

前田さん

大学在学中にフードビジネスを学ぶために渡米し、現地でデリカテッセンで働きながら学びました。シェフになりたいとか具体的な目標があったわけではなくて、何かしらの食に関する仕事をしたいなと。帰国後、大手食品小売業にてバイヤー、マーケティング、プランナーを経験しました。プランナーでは、シェフの方々と一緒に仕事をする機会に恵まれたのですが、調理の知識、技術の無さに自分の未熟さを痛感することも多く、「ちゃんと調理の技術を学びたい!!」と一念発起。調理専門学校への入学を決意しました。
服部を選んだのは、ちゃんと本気で学べること、会社に服部卒業生がいたこと、立地や時間帯の通いやすさが理由でした。服部OBの会社の後輩が「調理実習で食べるものが全部おいしいよ」と教えてくれて、もうここしかないと(笑)。

同学科卒業生で株式会社KIBO創立メンバー
左:佐々木 拓也さん、右:前田 佳代子さん

仕事しながらの通学、大変だったことは?

佐々木さん

最初の1ヵ月くらいはきついなあと思いましたが、慣れるものですね。私はお客さんとのやりとりが少ない開発職なので自分のペースでやっていくことができましたが、品川さん、前田さんは大変だったんじゃないかと思いますよ。

品川さん

確かに慣れるまで最初は大変でしたが、開始時間が他の学校より遅いので調整しやすかったです。仕事の都合でどうしても行けない日が出てくるので、出席日数を気にしながらがんばっていました。出張が多い前田さんは大変だったかも。オンライン授業になってからはずいぶん楽になりました。学校側が、忙しい社会人のためにいろいろと配慮してくれて、救済措置を用意してくれていたのもありがたかったです。

前田さん

会社と専門学校とそして趣味の一環としてフットサルも現役選手を続けていたので、3つをこなすことが超ハードでした。どれも手を抜きたくないし、スケジュール管理が大変でしたね。

服部栄養専門学校で学んで良かったと思うことは?

品川さん

基本的な技術をしっかり一から学ぶことができることですね。たとえば調理実習での「切る」という動作ひとつにしても、学校では科学的根拠を説明しながら教えてくれます。ここが独学や家庭で教わる料理とは決定的に違います。また座学では食の歴史、栄養面、衛生面など食に関わることを満遍なく学べます。半年に1回ある試験をきっかけに知識を定着させることで、卒業して1年近く経った今でも、食品を扱う時にどのような食中毒の危険性があるのかなどを思い出します。

佐々木さん

服部に入って一番良かったと思うのは、KIBOの立ち上げに関わることができたということです。品川さん、前田さんと同期でなければ、今私はここにいないでしょう。
料理して喜んでもらう、それだけでもとても嬉しいことですが、食に対するアプローチはたくさんあって、いろんな関わり方があるんですよね。食を通じていろんな人に出会うことができる。そのきっかけをくれた服部に感謝しています。

株式会社KIBOの企業理念と今後の目標は?

品川さん

シェフのネットワークを作ること、地域を活性化させること、双方をつなぐことが目指すところです。
コーポレートシェフとして実績がある料理人でも、自分で店を出すのは大変です。世間では無名でも腕の良い素晴らしいシェフはたくさんいます。そんなシェフの方達が活躍できるプラットフォームを作っていきたいと思っています。

料理を作る人というのは、スケジュール管理やクライアントとの交渉や集客など、ビジネスの認識が曖昧になりがち。その部分を私たちが担ってビジネスにしていきます。
「地域」というのも重要なキーワードとして考えています。地方で採れる埋もれた素晴らしい食材と腕のいいシェフ、それを掛け合わせることで新しいものが生まれます。地域には活性化を、シェフにはやりがいやプラスアルファの収益を。みんながウィンウィンとなるような場を作ることが目標です。

私たちは市川の畑で農業にもチャレンジしています。ここで取れた新鮮な野菜を調理してもらうことはもちろん、食料自給率を高める何かしらの貢献につながっていけばいいねと、メンバーと話しあっています。今度マルシェも参加します。手広くさまざまなことをやってみることで、ビジネスの可能性を模索しています。

佐々木さん

料理を作る人たちは、食材にもこだわりたい方が多いんですよね。産地に自分で出向いて調達してくるという人も珍しくありません。でも産地とのつながりがないからと二の足を踏むシェフの方も多くいらっしゃいます。私たちは、そんなシェフの方たちを産地とつないであげることができる。広く食のビジネスに携わってきた私たちだからこそ可能なことだと思っています。まったく違う経歴、知識、資格を持っている3人、それぞれ得意分野を生かしてうまく分担してやってます。

前田さん

最近、活躍されているシェフの方々は、新しい情報に敏感でコミュニケーション力が高く、シェフ同士のネットワークもとても広いです。そこで得る情報をもとに、自分のクリエイティブにいかしたり、発信することでお客様の支持を得ています。ですが、そのつながりを持っていないというシェフも大勢いらっしゃいます。キャリアも実力も熟練されているのにつながりがない、そんなシェフの皆さんの情報源となり、横のつながりを強める役割を果たしていけたらと思います。

これから食の世界に羽ばたく学生に向かって一言お願いします。

私たちは一般企業に勤めながら夜間の服部に通い、調理師の資格を取得しました。一見大変なように思えますが、それだけの熱意ある人たちが集まっている場所。そこで得られる仲間との信頼関係は何にも替えがたいものです。
また、服部で学べる技術、服部ならではの業界ネットワークは、食の世界でビジネスをやっていく上で強力な武器になります。「食の業界は給料が安い」というのは今までの業界の姿であり、思い込み。服部で得た知識をもとに、新しくマーケットを作ってその概念をくつがえし、食の世界に携わる人々がもっと豊かになる世界を創造していきたいと思っています。

株式会社KIBO(Kitchen KIBO – KIBO Lab)

“KIBO -きぼう-”

シェフ、パティシエ、調理師、管理栄養士、メニュー開発者、食品小売バイヤー、流通、販売のコンサルタントなどで構成される多様な世代の食コンサルティング企業です。

https://kibo.co.jp/

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