卒業生の声　田辺猛さん

Graduate's Voice

プレッシャーを力に変える！

フランス料理「ラトラス」
田辺猛さん

調理師科1年卒（2004年3月）

服部学園卒業後、都内有名フレンチレストランに就職、本場フランスでの修業後、都内フレンチレストランでの料理長を経て、満を持しての2008年12月ラトラスをオープンされました。お忙しいお時間の合間にお話を聞かせいただきました。

調理師を目指した理由

田辺シェフが料理人を目指したきっかけは何ですか？

朝から仕込みをしたり、一緒に食材の買い物に行ったりと、ずっと父を見てきたのでフランス料理は幼い頃から身近な存在でした。
小学3年生の時の作文で『将来の夢は料理人になる事』と書いたのを憶えていますね。

服部学園に決めた理由

数ある料理学校の中で、服部学園に決めた理由は何ですか？

中学卒業後にフランスの料理学校に行く事も考えたんですが、やっぱり日本の高校を卒業しておいた方がいいと思い高校に行きました。東京の料理学校と言えば、『服部学園』ですし、父の知合いに服部学園卒業生がいたのでOB推薦で入学しました。

服部学園の思い出

服部学園時代の田辺シェフはどんな学園生活を送っていましたか？

教科書を流し読むだけの授業とは違い、どの先生も熱心に授業をして下さったのを憶えています。実習の時間が面白くていつも楽しみにしていました。また、外部の先生から学ぶ授業があり、現場の話等を聞ける事がとても新鮮でした。料理の基礎はもちろん、衛生面や食育面の知識、内面を磨く事の大切さなどが今も役立っていますね。

当時、田辺シェフが一番頑張った事は何ですか？

見せ所であり、学んだ事の集大成の『卒業記念料理作品展示会』でしたね。
かなり頑張った甲斐があり、『校長賞』をはじめ4つの部門で受賞しました！

就職・転職を決めた理由

卒業後、ニューオータニのトゥールダルジャンに就職を決めたのはどうしてですか？

いろいろなお店を考えましたが、父のフランス修業時代の仲間のリュックパスキエ氏が当時シェフだった事もあり、トゥールダルジャンに決めました。

トゥールダルジャンは高級フレンチレストランですよね。初めての職場はどうでしたか？

ホテルニューオータニでもトップクラスのエリート揃いで、『わかっていて当たり前』の世界でした。料理は洗練された正統派フレンチ、厨房での食材等は全てフランス語、とにかく学ぶ事が沢山ありました。初めは右も左も分からず全てが大変でレベルの差を感じましたが、そのプレッシャーをやる気に変えて頑張る事ができました。素晴らしい先輩方に囲まれ、色々と面倒を見てもらい可愛がってもらっていました。

トゥールダルジャンからラ・トゥーエルに移った経緯を教えてください。

トゥールダルジャン就職3年後、トゥールダルジャンパリ本店の副料理長を務めた経験のある清水シェフから、神楽坂でラ・トゥーエルをオープニングするから一緒にやらないかと誘われました。もう一度フランス料理の基本を学びたいと思っていたので、ラ・トゥーエルに行く事を決めました。

フランス留学

『転職2年後フランスに行く』と初めから決めていたんですか？

清水シェフには伝えていましたね。計画を立てて行動しないとのびのびになってしまうので逆算してフランス語を勉強したり、調理のテクニックを磨いたり、手続きの準備など着々と進めていました。

フランス留学はどうでしたか？

フランス料理には歴史があり、『食』に対する考え方も奥が深いと思いました。幾つかのお店で修業しましたが、地方によって料理が違うので色々得る事は多かったですね。フランスの料理人たちの集中力には驚きました。日本とは異なり、まさに『やる時はやる』という感じで、力を抜く時と極端でメリハリがありました。

帰国しようと思ったきっかけは何ですか？

多くの事を得られたので、自分の能力を発揮できる場所は日本だと感じたので帰国する事にしました。帰国後は以前お世話になっていたラ・トゥーエルでシェフとして働きました。

ラトラスについて

その後、ラトラスをオープンされる事になったんですね？

ラ・トゥーエルの店舗の大家さんから、近所の駐車場を店舗にするので、独立する際はどうかとお話をいただいたんです。でも、ラ・トゥーエルの近所でフレンチレストランをオープンすると、ラ・トゥーエルにも大家さんにも迷惑を掛けると思ったのですが、『互いに切磋琢磨して共存し合えばいい』と励まされ、心を決めました。トゥールダルジャンで知り合い、当時ラ・トゥーエルの支配人だった吉田誠氏と一緒にラトラスをオープンしました。吉田支配人とは『40歳までに自分のお店を出したいのでその時は一緒にやっていきたい』と以前から話していたんです。